Aero & Astroカテゴリの記事

Assisted GPS (A-GPS)クライアントの実装

April 02, 2024 22:39
 

GPS関係の処理をRubyから使えるようにしたgps_pvt gemは色々なストリームやファイル、シリアルポート(GPSデバイス直結)から情報を読み込めるようにしてあります。このたびv0.10で初期測位を早めるためのAssisted GPS (A-GPS)に対応しました。単独測位をするのであればgemをインストール後に以下のコマンドで例えばAndroidなどて使われているGoogleのサーバから情報を取得してA-GPSを利用できます。

$ gps_pvt supl://supl.google.com/ (Ntrip等のリアルタイムストリームを指定)

生データに近い物が見たければ、以下のコマンドでJSON形式でエフェメリス等が得られます。

$ gps_get supl://supl.google.com/

エフェメリス(軌道情報)を読み込む程度なので実装は簡単かなと思って始めたのですが、結果的に色々調べる必要がありました。羅列ですが、調べたものを残しておこうと思います。

SUPL
Secure user plane location。A-GPSの事実上の標準実装(という理解)。プロトコル名としてはUserPlane Location Protocol(ULP)。表面を覆っているのがULPで、中身のペイロードにはLPPやRRLPといった別のプロトコルが使われる。実装例が少ない中、tajuma/suplgoogle/supl-clientが参考になった。
LPP (TS 37.355)
LTE Positioning Protocol。エフェメリスなどの定義がある。GPS以外の定義もしっかりされている。
RRLP (TS 44.031)
Radio Resource Location service Protocol。LPP同様エフェメリスなどの定義があるが古めの規格。プロトコルとしてはGPS以外も使えそうに見えるが、GoogleのSUPLサーバに問い合わせてもGPSのエフェメリスしかくれない模様。
ASN.1 (X.680)
Abstract Syntax Notation One。ULP, LPP, RRLPなどの文法は全てこれで書かれている。Rubyにも主にSSL証明書をパースする目的でOpenSSL::ASN1の実装があるが、機能が限定的で今回は使わなかった。代わりにRubyの構文解析ツールであるRaccを使う前提で文法asn1.yを定義し、asn.1形式の文法ファイルをパースできるようにした。asn.1をasn1.y(から作ったRubyコード)で事前にJSONに変換(upl.json.gz)して本番では利用している(rake upl.json)。Samayou Oharikuiの和文解説Gusztáv ADAMISさん(ERICSSON)のスライド(PDF)がとても参考になった。OSS NokalvaObjective Systemsも参考にした。
PER (X.691)
Packed Encoding Rules。SUPLではバイナリで情報がやり取りされるが、その時のエンコーディングルールにBasic Unaligned PERが指定されている。前述の参考資料にも解説あり。RSpecで(asn.1から変換した)JSONとPER間のテストを書いて検証した。

最後におまけとなりますが、SUPLサーバに対しては携帯のようにIMEIを渡すわけではなく、問い合わせホストのGlobal IPを渡すようにしてみています。

RubyでGPS姿勢推定

March 14, 2023 13:55
 

RubyでのGPS解析環境を充実させるへくgps_pvt gemを作っていますが、そのgemを応用して近接する複数アンテナを使った姿勢推定のプログラムを作ってみました。

Integer Ambiguityを全組み合わせで計算してしまうので、衛星がたくさん見えていると明らかに処理速度が落ちます。その部分を改善していきたいと思います。

RubyでGPS受信機

December 27, 2021 22:20
 

ちょっとすごいロガーのツールの一部を切り出して、RubyでGPSの測位処理ができるようにしてみました。githubにコードを公開しています。

Rubyのgemとしているので

gem install gps_pvt

で入れることができます。native extensionを含むgemなのでインストール中にコンパイルが走ります。Windowsの方はビルド環境(Ruby installer for Windowsでいうところのwith Devkit版でのRuby導入)が必要になります。

gemインストール後は

gps_pvt RINEX_nav RINEX_obs

とすると、測位結果がずらずらとCSVで出力されます。単独測位、スナップショットでの解なので、実用性はあまりないです。これをベースに何か発展的なことをしたいという人向けのツールです。詳しくはReadmeを見てください。

プログラム的な話をすると、native extensionを作るためのextconf.rbが凝った作りになっています。shared libraryを複数生成する必要があるので、内部でMakefileを別名で複数生成し、それらを起動するMakefileを最後に生成しています。

Super Sylphide 進捗状況(75) -- RTKLIB探訪 rtksrv.c編

March 15, 2014 09:40
 

最近、オートパイロットシステムTinyFeatherのGPS機能を充実しようとしています。搭載しているGPS受信機から、できるだけ生情報に近い部分を使うことで、より高精度な測位をすることを目標としてみました。GPSに関連する情報を処理するのは、高須先生がソースを公開されているRTKLIBです。RTKLIBはPCのアプリとして動かすにはとてもよくできているのですが、TinyFeatherはPCとは入出力やスレッドをはじめとしてかなり環境が違いので、組み込むにあたってプログラム構造を理解する必要がありました。今回の記事はある程度理解が進んだので、そのまとめとなります。
なお、高須先生のコードからforkして、TinyFeatherなどの組み込み環境向けRTKLIBを独自に公開しています。記事を書いている時点では、できる限り少ないコード(ファイルやスレッドを使わない)で測位部分のみを抽出したminimal_rtkposが大きな追加部分となっており、その他もファイルやスレッドを使わないような分岐(それぞれWITHOUT_FILE, WITHOUT_THREADというマクロ)が施してあります。

RTKLIBは、共通の部分(ディレクトリでいうとsrc)とそれを覆いこむいくつかのアプリケーション(同じくapp)として提供されているのですが、そのうち注目したのはCUIベースのrtkrcvというプログラムです。GUIがない測位機能中心のプログラムなので、これを解析していくことにしました。

rtkrcvは、RTK測位のサーバ機能を提供するrtksvr.cを中心としたプログラムになっています。この構造は下図のとおりです。

rtksvr.png
rtksvr.cの構造

rtksvrthreadというスレッドの中で無限ループがあるのが特徴で、そのスレッドはrtksvrstartで生成、rtksvrstopで破壊されます。スレッドないの無限ループでは、測位(rtkpos)が行われ、それに付随する入出力、すなわち、搬送波位相などの観測情報をはじめとしたデータの受信(strread)と、解析結果の送信(strwrite)が行われています。つまるところrtkposが一回の測位に相当しますので、TinyFeatherをはじめとした組み込み環境では、rtkposをループで叩き、その入出力をなんらかの形で行ってやればよいということがわかりました。

冒頭で紹介したminimal_rtkposは、rtkposを1回走らせるための最小限の入出力をつけたもので、ファイルやスレッド機構がなくとも動作します。rtkposを動作されるためには、引数となる構造体に対してどのような値を設定し、また出力としてどのような値が返されているのか把握することがとても重要でした。この関係を把握するにあたってはrinexファイルからの読み込みを記したrinex.cや、u-blox受信機の出力をパースするrcv/ublox.cが大変参考になりました。

以後、得られた理解をもとにTinyFeatherへのRTKLIBの移植を進めます。

※次の進捗は、ちょっとすごいロガーにテレメトリを追加した話です。

Boeing 787

October 05, 2012 23:59
 

Boeing 787に乗ってきました! 主翼のそばに座ってきました。


インボードエルロンがちょくちょく動く

gust alleviation とか gust load alleviation が入っているとも聞いていますが、どうなんでしょうか。機内は湿度が高いようで、喉が痛くならず快適でした。

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