お手軽 INS/GPS
最近、室内飛行機の自律飛行に関する記事をたくさん書いているので、そういう関係の方が多く見てくださっているようですが、せっかくなので自分がメインにしている内容についても簡単に紹介しておこうかと思います。
僕はINS/GPSという装置の研究・開発をしています。INS/GPSというのは、名前のとおり、INSとGPSという2つの装置を組み合わせてひとつのものにした装置で、全体の機能としては現在の位置や速度、姿勢といった基本情報を提供します。
個々の装置について説明すると、まずINSというのはInertial Navigation Systemの略語で、日本語に直訳すると『慣性航法装置』となります。これは加速度を積分すると速度に、速度を積分すると位置に、また角速度を積分すると姿勢(角度)になる慣性の法則を応用した装置で、加速度計やジャイロによって、加速度・角速度を検出し、位置・速度・姿勢を出力する装置です。
一方のGPSですが、これはカーナビでおなじみのGlobal Positioning Systemのことです。GPS衛星から放出された測位用の信号をGPS受信機が受信することによって現在の位置や速度がわかるというものです。
組み合わせてINS/GPSとしているのは、INSとGPS両者の長所・短所を相補するためです。INSの長所は外部の助けを必要とせず、自己完結的に動作が可能であること、しかしながら積分によって結果を出力しているため、時間とともに誤差が蓄積されます。一方のGPSは測位精度が時間を経過しても劣化しないという長所があるものの、衛星の電波を捕捉できなければ動作できません。組み合わせることによって、自己完結的でありながら、精度を保つことができます。
このINS/GPSですが、既に航空機や船舶に搭載されて実用化されています。ところがこの装置は精度を最優先にしたアプリケーションが多い(航空機や船舶でどこにいるかわからなくなったら大変ですよね、領空・領海侵犯とか)ため、気軽に使えるほど価格や大きさ、重さの点でいけていません。そこで精度を多少犠牲にしても、気軽に使えるような安くて、小さくて軽いものがあったら便利だろうなと思い研究・開発しています。
進捗状況ですが、MEMSの加速度計やジャイロ、安いGPSを使って実験用のプロトタイプをつくり、後処理ながらなかなかよい結果がでる(結果の一例、パワポ)ようになりました。実験は飛行機を使ってしています。そろそろ本格的なプロトタイプ開発にチャレンジしようかと考えています。
コメント
>yasudaさん
コメントありがとうございます。日大の展示会では機体拝見させていただきました。あの機構ですとスムーズに離着陸できますね。
現在、鋭意次のプロトタイプを製作中です。宜しければごらんください。
https://fenrir.naruoka.org/archives/000542.html
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まさに1~2mの無人機作ってます。
INS/GPS 安くなるとうれしいですね。
Posted by: yasuda : January 17, 2007 12:29 AMhttp://www.ghcraft.com/QTW-UAV/QTW-UAV.htm