室内飛行機 自律旋回飛行に成功?

室内飛行機の自律飛行を検討していたわけですが、基板等の各コンポーネントがとりあえず完成し実験をすることになりました。当初の予定では、それらを活用して体育館内で室内飛行機を自律旋回飛行させようということだったわけですが、あっけなく自律旋回飛行してしまいました。といっても問題点が激しくあるのですが(笑)
とりあえずその飛行実験の様子の動画をご覧ください。再生をすると人の声が聞こえると思いますが、『自動』と言っているところ(上昇する手前まで)は自律飛行をしています。

何が問題なのかは続きをどうぞ。

問題点とは、この実験は本来は自律の直線飛行を目指して行ったものなのですが、図らずも旋回飛行してしまったことです。機体のコンフィギュレーションとしては以下のとおりです。

  • 機体はラダー機、全備重量約150グラム。
  • 機体には加速度計を搭載し、メインCPUがH8/3694の自律飛行モジュールを搭載。超音波センサモジュールは間に合わなかったため、今回は搭載しなかった。搭載機器の詳細は以前の記事をどうぞ。
  • 4台のビデオを体育館の四隅に設置し、画像処理を行うことによってインドアGPSのようにして使用。(X,Y,Z)の3軸の位置がとれる。(担当パートではないので、内部処理をどうしているのかちょっとわかりません)
  • 制御としては
    • ビデオからの高度をスロットルへフィードバック、ゲインは適当
    • 加速度計のY軸によるロール検出とビデオからの水平面内位置(具体的には直線飛行を目指したので体育館の中心線からのずれ)をラダーへフィードバック、ゲインは適当
    の2点。ビデオ情報はプロポを経由してPCから機体上の制御モジュールに送信される。
  • エレベータはトリム点からいじらない。

直線飛行ができなければ素直に落ちてくくればいいものの、図らずも旋回飛行ができてしまった理由としては、スパイラルモードの安定性が意外とよかったのが原因でないかと思います。あとで詳しい人に聞いてみたところ、模型飛行機のコンテストで滞空時間を競うフリーフライトという競技では、ラダーをトリム点から多少シフトさせておき、旋回が定常安定になるように設定することがあるそうですが、今回の状況はまさにそれに近かったのではないでしょうか。動画をじっくり見てみると、制御しているはずのラダーの効果をあまり見ることができてませんし、主翼が水平尾翼に比べて傾いてしまっています…。飛行中の機体特性が想定したものと違えば、制御うんぬんの前の問題です。

というわけで今回の実験結果を考察してみると、まずは機体特性を正しく推算し、それをできるだけ定常的に再現できる機体を作ることが最重要ではないかと思います。今回の機体は主翼が取り外し可能で、実験をするたびに取り付けがずれる可能性がありました。
あと、制御の話で言えば、加速度計とビデオ情報だけでは可観測性・可制御性がない(例えば位置と加速度だけでは、横滑りとロールを区別することができない)ので、多少のいんちきをしなければならないことが実験前から判明していました。このことについては、今回の実験結果をみる限り、適当にやってもなんとかなりそうだという感触を得ることができましたので満足しています。ジャイロを入れなかったことに対する後悔も、今となってはそれほどありません。

今後の話ですが、この室内飛行機の自律飛行は大学院の講義である『航空機設計特論』の一環として複数人でプロジェクト形式で行ってきたもので、講義が終了した今ではペンディングの状態にあります。今後なんらかの形で進展をさせたいと個人的には考えていますが、研究で行っているわけではないので、どうなるかはわかりません。

August 13, 2006 00:53 fenrir が投稿 : 固定リンク | | このエントリーを含むはてなブックマーク

コメント

こんにちは。
主翼の取り付けが狂ってると、制御利かないですね・・・
主翼は、胴体側とピンで位置決めするか、ボルトでとめるといいですよ。

Posted by: miw : August 30, 2006 03:23 PM

>miwさん
なるほどボルト留めですね。重さを考えるとプラスチックボルト/ナットあたりが適当なのでしょうか。
今まではテープ留めだったので、取付け用の凹凸を作ったところでかなりガタガタしていました。ガタガタしていてもシステム同定で…というのはかなりであれですよね(笑)

Posted by: fenrir : August 30, 2006 11:59 PM

んと、最近飛行機はつくってないので部品の名前が不確かですが、
ダウエルだったかな?
主翼の前縁の取り付け部分に小さい棒を差して固定します。

胴体にはそれを受ける穴をあけておきます。
主翼の後縁はプラスチックボルトでもテープでもいいです。

で、前縁で位置決めして後ろでとめたらうまくいきますよ。

バルサキットや半完のラジコン飛行機は、こんな感じでとめてますよ。

Posted by: miw : August 31, 2006 09:19 AM

>miwさん
情報ありがとうございます。
『ダウエル』で検索してみましたところ、高精度位置決め用のピンのようですね。材質はクロモリ鋼など硬いものが多いようですが、これなら確かに正確な位置決めができそうですね。

Posted by: fenrir : September 4, 2006 07:28 PM

普通の模型飛行機レベルだと、
えーっと、竹の菜ばしみたいなやつとか、
小型機であれば、太目のピアノ線でだいじょうだと思いますよ。

クロモリ鋼だと、それは模型でない方の飛行機用かな?

Posted by: miw : September 5, 2006 09:42 AM

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