MEMSジャイロ 静置試験

この前まで、加速度計・ジャイロの性能評価をしていたのですが、MEMSのセンサでもある程度の性能がでることがわかりました。とりあえず、静置試験を行った結果を載せておきます(どのセンサを使ったかは想像にお任せします)。
試験方法は1時間放置、そのデータをAllan Variance(アラン分散)という方法で処理しています。アラン分散をみることによって、センサ誤差の数値モデルをつくることが可能になります。

アラン分散は、測定時間間隔と、その時間間隔で平均化したデータの分散の関係を示します。そして測定時間間隔を横軸に、アラン分散を縦軸にとったグラフをみることによって、センサの特性を判断するることができます。
時間間隔が小さい場合、アラン分散は白色ノイズ成分を表し、時間間隔が大きくなるにつれて時間変動分をあらわします。もし純粋に白色ノイズによって構成されるセンサ、つまり時間変動がない優秀なセンサなら、グラフは測定時間間隔が大きくなるに従って、アラン分散は小さな値を示します。このことは、数多くのデータを取得し、それを平均化することによって確からしい値が求められることを意味します(もし時間変動があるなら平均化しても正しい値に近い値を得ることはできません)。

このことを利用してセンサの数値モデルを作成することができます。ネタ本の『Applid Mathematics in Integrated Navigation Systems, Sencond Edition』の6.2章に詳しくかかれているので、興味がある奇特な方は参照してみてください。一応自分が作成したモデルその結果を置いておきます(実は数値モデルにはまだ実際あるはずのLPFを入れていないので、測定時間間隔が短い部分で実機と一致していません)。

あと、解析に利用したソフトはAlaVarというもので、pdfまで吐き出してくれます。便利です。

September 20, 2004 23:46 fenrir が投稿 : 固定リンク | | このエントリーを含むはてなブックマーク | この記事をdelicious.comでブックマーク

コメント

静置試験を英語では何と言うのか、教えて下さい。

Posted by: 梅田 章 : November 4, 2008 04:07 PM

>梅田さん
こんにちは。『静置』を直訳するとstationaryあたりだと思いますが、意味的にはTest for analyzing static characteristicあたりになるんじゃないでしょうか。機会があれば近くの欧米人に意見を求めてみますね。

Posted by: fenrir : November 5, 2008 01:03 AM

私も、上記アラン分散の測定したいと考えておりますが、
どのような測定系で実施すればいいのか、悩んでおります。
測定方法や測定器に関して、お教え願えませんでしょうか。
測定するものは、MEMSセンサです。
例えば、センサの出力をデータロガーで読み込んで、上記AlaVarで解析させるのでしょうか。
AlaVarサンプルデモでは、DATファイルを読み込んでいたので、何か専用の測定器があるのでしょうか。

非常に初歩的な質問で申し訳ありません。

Posted by: : July 2, 2009 04:14 PM

>中さん
コメントありがとうございます、fenrirです。AlaVarが*.datの読み込むを行うことだけ見て、AlaVarは何か特定の測定器が出力したデータファイルを想定している、と思われたのではないかと思います。しかし実のところ、スペースと改行で値が区切られた単純なテキストファイルなら、何でも読み込むことができますので、測定器は何でも使うことができると思います。

Posted by: fenrir : July 3, 2009 10:46 AM

返信頂きありがとうございます。
早速測定を行い、データの解析を行いましたが、
理論的な知識がなく、データ分析に困っております。
少しデータの見方と考え方に関して教えて頂けないでしょうか。
①fenrirさんのデータでロギング0.01秒に1回で1時間(例えば36万回)しても、アラン分散のグラフの横軸が、2つのデータの区切りと考えて30分分のプロットまでになっていないのは何故なのでしょうか。
②fenrirさんのデータで、20sあたりから分散が増加していますが、これは何を意味するのでしょうか。(20s以上でモニタした場合になんらかのノイズ、ふらつきが出力としてあるということでしょうか。)
また、その増加はセンサの使用にあたり、どのような不具合事象が考えられるのでしょうか。

突っ込んだ質問で、かつ長くなり申し訳ございません。

Posted by: : July 28, 2009 10:25 PM

>中さん
理論的な背景をご自身で調べられたほうが的確な解が得られると思いますが、とりあえずわかる範囲でご質問の内容に答えてみたいと思います。
1については、サンプル点2のべき乗で計算している都合だと思います。
2については、ホワイトノイズ以外の性質をもつノイズ(傾きによって色々名前がついていたと思います)が20s以降は支配的になったということだと思います。具体的影響としては、例えばホワイトノイズは時間平均をとることによってその影響を圧縮することができるのですが、20s以上の時間平均ではそうはならず、もしノイズの効果を圧縮するためには他の方法を検討する必要があるということだと思います。

Posted by: fenrir : August 1, 2009 03:09 PM

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