Ruby 3.5のRactorでyield/takeを復活させる
Ruby 3.5(現時点では3.5-dev)で並列実行機構であるRactorの仕様が大きく変わりました。Ractor::Portという通信経路が定義され、別実行されるRactorの外から中への内向き通信経路がRactor#default_portでとりだせるRactor::Portで管理されるようになりました。従来からあるpush型の通信関数であるRactor#sendとRactor.receiveもdefault_portと紐づけられています。
一方、pull型通信であるRactor.yieldとRactor#take(3.4のドキュメントへのリンク)がなくなってしまいました。いちおうtakeは3.5でも残されているのですが、2025/8に除去します、と警告が表示され、また対になるyieldがないので並列実行途中(終了時ではなく)に出したメッセージを取得してくれません。
調べてみたところ、Ractor::Portの提案には3.5でも動くとされる代替策(Ractor.yield and Ractor#take with channel ractor)が記述されているのですが、これが実装ミスでうまく動きません。主な原因として、Ractorのインスタンス生成がinitializeを呼び出さずnewだけで定義されていることによるものと思われます。
そこでRactor.yieldとRactor#takeを3.5でも動くようにしてみました。newされるときに外向きの通信経路をRactor::Portで新たに追加してあげています。またRactor#monitorで終了を監視するようにしました。
上記で手元ではRuby 3.4までのコードをそのまま使うことができています。
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