August 27, 2008

秋月GPSモジュールの生データはPECL出力

少し前に書いた『秋月GPSモジュールから生データ抽出』では、秋月のGPSモジュールに搭載されたベースバンドチップSiRF GPS2e/LP-7456には、どうやら差動で微小な信号がきているらしい、ということを書きました。この度ようやく、その差動信号を通常のマイコンで扱えるレベルに変換することができたので、お知らせしようと思います。

差動信号には規格がいくつかあったので、規格仕様を対照しつつ、差動からシングルエンドにレベル変換してくれるICをいくつか試してみることにしました。その結果PECLという規格がどうやら正解のようで、現在はPECLを3.3Vレベルに変換してくれるTI TB3R1というチップを使い、後段のDual 4bits shift registerの74HCT4015に信号を渡すことに成功しました。

現在のGPSモジュールの様子と、基板のEagleでの回路図レイアウト図を公開しようと思います。ファイルは先述のTB3R1も載るようにした新しいリビジョンです。

gps_packet_sniffer_RevB.jpg
美しき(嘘)配線をご覧あれ!!

流石に隣接した0.5mmピッチ足にUEW 4本は辛かった(線材をもっと細いものを使うべきなのか、単に修行が足りないだけなのか、笑)ので、配線はスルホールとチップ部品から引っ張りました。赤丸を記した部分が線材と接続している部分です。上からSIGN、MAG、PECL用のリファレンス電圧、CLKだと思います。

PCにデータを吸い上げるために後に残すは、Cypress FX2LP用のファームを書くことのみとなりました。FX2LPで高速なインターフェイスを記述するためのツールであるGPIF Designerは今回がはじめてなので、うまくいくか少々不安です。コンパイラは以前のノウハウのあるsdccを使おうと思います。

※さらに、ざっとクロックを見てみました。

GPS_sniffer_clk.png
オシロのスクリーンキャプチャ

約38MHzとは随分早いですね。FX2LPのクロック入力がmax:48MHzなのでなんとか大丈夫です。クロック周波数は信号処理をする際に非常に重要なファクタなので、再度測りなおすつもりではいますが、XOの周波数(24.5535MHz、型番:KDA3016B ?)の綺麗な倍数でないところをみると計測結果に自信をもてなくなります(笑)。

※※さらに調べてみた結果、HOT CHIPS 11 Archives (1999)にあるSiRFstarII ARCHITECTURE(PDF)が検索に引っかかりました。これによるとサンプリングクロックは38.192MHzということで計測結果にほぼ間違いはないようです。24.5535MHzを14/9逓倍すると結構近い値(38.194MHz)になりました。そういうことでIF(中間周波)は1575.42MHz mod 38.192MHz = 9.548 MHzだそうです。以前『Open source GPS C/A信号の抽出』で示した方法でC/A信号を抽出するためには、この9.548 MHzを中心に信号を眺めればよい、というわけです。これまで細々と進めてきたことに加えて、生データ取得用のFX2LP用ファームの作成、信号トラッキングをコード化が終われば、晴れてオリジナル受信機の完成です。

ところでGPSのフロントエンドから信号処理、そして測位計算まで全て眺めていくと、アナログ回路の中でも最も難しいと思われるRFの知識(電気・電子)、自己相関やFFT(応用数学)、座標変換(幾何学)など様々なことを学べます。こんな面白い題材があるのに、ハンディ受信機を買ってきて地図にプロットするだけ、というのは工学的視点でいうとなんとももったいないと思いませんか(笑)。これら全て解説した和書があまりない、特に取っ掛かりとなる本がないというのが問題なのかもしれません。

23:59 fenrir が投稿 : 固定リンク | | このエントリーを含むはてなブックマーク | トラックバック
このエントリーのトラックバックURL: https://fenrir.naruoka.org/mt/mt-tb.cgi/658
コメント

芸術的配線ですね!(笑)
僕はこういう0.5mmピッチのジャンパの場合、フラットケーブルをばらして、ばらした線を使って配線します。
ものすごく細いですが、そう簡単には折れないから便利ですよ。あんまり見たくない光景だけど…。

Posted by: odawara : August 28, 2008 09:13 AM

0.5mmピッチの場合は0.26φのUEWかPEW使ってますね。
これ以上太いと私には無理(w
そういえばICの足の先端にケーブルを接続しようとするのではなく、ICの上から被せるように配線すると楽とか聞いたような聞かないような・・・。ICノイズ怖いですが。

Posted by: hajime : August 28, 2008 12:14 PM

>odawaraさん
フラットケーブルをばらすアイデア、いいですね。フレキを買ってこようかちょっと迷ったのですが、近場にあったUEWでなんとかしてしまいました。

>hajimeさん
こちらのは0.3φでした。UEW調べてみると最細で0.05mmなんていうのもあるんですね。コイル用だと思いますが、0.1mmあたりがあると重宝しそうです。今度アキバ行ったとき買ってこようっと。上からの引き回しは今度機会があったら(ないほうがいいんでしょうが、絶対ありそう、笑)、試してみます。

Posted by: fenrir : August 28, 2008 09:33 PM
コメントする









名前、アドレスを登録しますか?
(次回以降コメント入力が楽になります)
  • 匿名でのコメントは受け付けておりません。
  • 名前(ハンドル名可)とメールアドレスは必ず入力してください。
  • メールアドレスを表示されたくないときはURLも必ず記入してください。
  • コメント欄でHTMLタグは使用できません。
  • コメント本文に日本語(全角文字)がある程度多く含まれている必要があります。
  • コメント欄内のURLと思われる文字列は自動的にリンクに変換されます。