January 05, 2008

ADIS16350 6DOFセンサ

年末に購入したAnalog Devicesの新しいセンサが届いていました。

ADIS16350.jpg

このADIS16350は6自由度、つまりXYZ軸の加速度とXYZ軸まわりの角速度が同時にはかれるセンサです。従来、このような機構を簡単に入手できるセンサで構成するためには、単品の加速度計やジャイロを購入し、なんらかの方法で、例えば基板を垂直に配置するなどして、それぞれの設置軸が直交するように配置する必要がありました。しかしこの製品の登場で、その苦労から解放されることを期待しています。性能がちゃんとでるようでしたら、オートパイロットシステム Super Sylphideもこの製品のお世話になろうかと考えています。

さてそのADIS16350ですが、性能面を考えてみると早速気になることがありました。この製品はADC内蔵で出力が14bitのデジタルのため、センサの生出力に対してアナログフィルタが組めません。これがどのように影響してくるかは、今後試験で明らかにしようと思います。

また先日実験してわかったのですが、加速度計をモーターなどの振動環境下で使用するとスケールファクタが変わってしまう、わかりやすい言い方をすれば、鉛直方向で1gが出力されなくなります。例をあげると下のグラフのような結果が得られます。

Z-axis_under_vibration.png

実験対象としたのは3軸加速度計STMicroelectronics LIS3L02AS4のZ軸を24bit ADCで取り込んだ変換値で、グラフの中盤から加速度計の近辺でモーターを回して加振、モーターをとめて静止を繰り返しています(回転数を変えているため振動の周期は変わっています)。はじめは1gがでいるのですが、途中から1g以下の値となってしまっています。
これは小型模型飛行機にオートパイロットシステムに適用するにあたって問題となります。近頃この対策をいろいろと検討しているのですが、なかなか解決しません。このような傾向が新しいセンサでどうなっているかにも興味があるところです。

※『X,Y軸についても…』というコメントを戴きましたので、Z軸(赤)と同時に計測していたX軸(青)、Y軸(緑)のグラフを追加してみることにしました。

XYZ-axis_under_vibration.png

X,Y軸についてはほぼ0g状態なので、スケールファクタずれてしまっているのか不明ですが、おそらくZ軸と同じ現象が発生するのではないかと予想しています。

23:26 fenrir が投稿 : 固定リンク | | このエントリーを含むはてなブックマーク | トラックバック
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コメント

あけましておめでとうございます~。また呑みに行きましょう~(挨拶

また凄いセンサですね。てか、アナデバってセンサー作ってたんだ。(知らなかった

Posted by: まや : January 7, 2008 09:59 AM

>まやさん
おめでとうございます。今年もよろしくお願い致しますm(_ _)m。んでそのうち呑みに行きたいです(笑)
アナデバのMEMSセンサーは優秀です。加速度計は結構各社でているんですが、MEMSジャイロを作れるメーカーは今思い出せだけで10社もないですね(とりあえず、アナデバ/E/F/T/S/M/sparkfunで買えるの2つ)。

Posted by: fenrir : January 8, 2008 02:39 AM

こんにちは、はじめまして。
ADIS16350の基板側コネクタですが、どのようなものをお使いですか?
24ピンの1mmピッチのコネクタのようですが、なかなか適合するものが見当たらず困っています。

Posted by: まつむら : January 27, 2008 09:08 PM

>まつむらさん
こんにちは、fenrirです。ADIS16350のデータシートにあるとおり、SamtecのCLMシリーズのコネクタを使っています。Digi-Keyで購入可能な他、少量でしたらSamtecにサンプル請求することもできると思います(下のURLの[Sudden Service]-[Sudden Samples]から)。
http://www.samtec.com/technical_specifications/overview.aspx?series=CLM

Posted by: fenrir : January 28, 2008 12:27 AM

はじめまして、いろいろ勉強させていただいています。

ST Microのデータシートを見ていて、
Sensing Element Resonance Frequencyという項目が気になります。
1.5kHz以上の謎の固有周波数の振動がデバイスに加わると、内部エレメントの振動に影響が出るってことなんでしょうか?
MEMSは機械的センサの一種だそうですからねぇ。
そうしてみると同程度の共振周波数を持っているであろうxやyにも似たような現象がでているかもです。

見当違いだったらもうしわけない。

Posted by: fieldoor : January 28, 2008 03:48 PM

ご回答ありがとうございます。
コネクタの仕様についてはDimensionだけみていたので、見落としていました。センサ自体、結構高いですが遊んでみたいと思います。
fenrirさんの用途ですと、広い温度範囲でのキャリブレーションが施されているADIS16355のほうがいいかもしれませんね。

Posted by: まつむら : January 28, 2008 05:24 PM

>fieldoorさん
コメントありがとうございます、fenrirです。とりあえず同時に計測していたほぼ0g状態のX,Y軸のグラフを載せてみましたが、ほぼ0gということなのでスケールファクタの現象があるのかはこの実験からはわかりませんでした。後日、重力の向きを変えて検証してみようと思います。

Posted by: fenrir : January 29, 2008 12:50 AM

>まつむらさん
ADIS16355が買えるようになったら飛びついてみたいと思います。温度補償が広い温度帯で行われているのは非常に魅力的ですね。恒温槽試験とお別れできるととても嬉しいです(笑)

Posted by: fenrir : January 29, 2008 12:56 AM

fenrirさん、わざわざのデータの追加ありがとうございます。

もう少し考えてみたのですが、ST Microのようなパッケージ的に明らかに1チップ3軸の場合には、チップの面方向(xとy)の特性と面に垂直の方向(z)の特性は全く異なるような予感がします。つまり、チップ上でmassがバネ状のものでxyの両脇から保持されていると仮定すると、z軸方向の特性は全く異なるものになるでしょう。
また、このチップが基板に実装された場合に、それが乗っている基板の機械的(音響的)振動モードも、面に平行な振動モード(縦波?)と面に垂直の振動モード(横波?)とで全く異なることでしょう。
アナデバの場合は形状からして3軸の鉛直実装って感じなので、デバイス本体のxyzの特性差はなさそうですが、やはり何かに取り付けたりした場合はその基板なり筐体の振動も考慮する必要があるかと思います。
いずれにしても減振処理が必要なようで、意外なところで苦労が出てきそうですねぇ。工学的に実現することってつくづく大変ですよね。

Posted by: fieldoor : January 30, 2008 08:47 PM
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